ダイエットにおいて、乗り越えなければならない壁の一つに『停滞期』があります。
停滞期とは、ダイエット中に体重が停滞することを言います。
停滞期が訪れる時期や間隔は個人差があり、一概に「いつ来る」とは言えません。
しかし、ダイエットをしている人の大半が、目標体重に達する前にこの『停滞期』に悩まされることでしょう。
この記事では、そんなダイエット中に起きる停滞期の原因と乗り越え方について紹介します。
停滞期はいつから起きて、いつ頃まで続くのか?
停滞期の期間とともに、陥ってしまった場合に早く脱出する方法を見ていきましょう。
ダイエット中に停滞期に陥る原因とは?
そもそもダイエット中に停滞期が起きてしまう原因は何なのかというと、
- 過度な食事制限による飢餓状態
- 痩せたことによる消費カロリーの低下
- 水分の減少による錯覚
停滞期の原因は、この3つに分けられます。
これらそれぞれについて、詳しく解説します。
①過度な食事制限による飢餓状態
これは、一言でいえば「食べなさすぎ」による停滞です。
ダイエットにおいて、”摂取カロリー<消費カロリー”は大前提であり、これを目標に食事制限や運動を行っていく必要があります。
しかし、摂取カロリーが少なすぎると、脳が「飢餓状態」と判断します。
そうすると、生命維持のために消費カロリーを大幅に減少させます。
つまり、”基礎代謝の低下”です。
それによって、カロリー制限をしても摂取カロリーと消費カロリーの差が縮まる、場合によってはゼロになってしまうので、体重が減らなくなってしまうのです。
これは、人間の『恒常性』という性質が大きく関与しています。
体温調節や血圧・血糖値の調整などと同じ仕組みで、消費カロリーと摂取カロリーのバランスを保っているのです。
更に、飢餓状態によってもたらされる悪影響は基礎代謝の低下だけではありません。
- 脳が栄養不足になり、集中力がなくなってしまう
- 筋肉を分解して脳にエネルギーを供給するため、全身が疲れやすくなる
などの悪影響があります。
また、飢餓状態が続くと、脳が”飢餓に備える”ための命令を出すようになります。
それによって、「過食」をしてしまって、「ダイエット前より体重・脂肪が増えてしまう」という現象が起こるのです。
この「飢餓状態」になってしまう目安は、”1カ月に体重が5%以上減る”ことだと言われています。
たとえば、60kgの人であれば、3kg以上体重が減少すると飢餓状態になってしまうということです。
ただしこれは目安なので、個人の筋肉量や体脂肪率によって数値は変わってきます。
②痩せたことによる消費カロリーの低下
①では、飢餓状態による消費カロリーの大幅な減少について話しました。
しかし、飢餓状態にならなくても、体重(筋肉)が減ることによって消費カロリーも減少します。
そもそも“基礎代謝”の算出方法はご存知ですか?
年齢や運動量によっても左右されますが、基本的な目安は「体重×22」です。
この計算式からわかるように、“基礎代謝”は体重によって変動するのです。
ですから、体重が減れば、わたしたちの消費カロリーの大半を占める“基礎代謝”が減少します。
さらに、“運動によって消費されるカロリー”も減ります。
同じ動きをしても、体重が軽くなれば消費カロリーは少なくなるのです。
なぜかというと、軽いものを動かすときはエネルギーは小さくて良いからです。
ですから、体重が軽くなればなるほど、基礎代謝も消費カロリーも低くなってしまいます。
そのため、ダイエットを始めた当初からずっと同じ食事や生活を続けていれば、摂取カロリーと消費カロリーの差はどんどん縮まり、最後には0になります。
これが、体重が停滞する原因というわけです。
③水分の減少による錯覚
ダイエットをはじめたばかりの段階で、すぐに2~3kg減少することはよくあります。
しかしこれは、脂肪が減少しているわけではなく、”水分”が減少していただけというパターンが大半です。
人間の身体の60%以上は水分です。
つまり、体重が60kgの人であれば、36kg以上は水分なのです。
ダイエット中の食事制限によって全体の食事量が減ることで、食事で摂取する水分が減少します。
そうすることで体内の水分量が減少するので、必然的に体重も減少するというわけです。
これを知らないと、「痩せている」と錯覚してしまいます。
しかし、しばらく同じ生活をしていれば体内の水分量は安定してくるので、体重の減少は止まります。
ダイエット初期で停滞を感じる原因の多くは、この水分の減少による錯覚である場合が多いです。
さらに、食事を元に戻せばすぐに水分量はもとに戻るので、もちろん体重も戻ります。
停滞期はいつから起きる?
それでは停滞期はいつから訪れて、いつまで続くのでしょうか?
ダイエット停滞期に陥るタイミングは、
体重が5%以上減ると始まる
というのが一般的です。
例えば、ダイエット開始前の体重が70kg程度だった人は、3.5kg程度痩せた頃から停滞期に陥りやすいということです。
具体的な期間でいうと、短期間ダイエットに取り組んでいる人の場合は2週間目、長期的なダイエットに取り組んでいる人は1ヶ月ほど経ったところが停滞期に陥りやすい時期だと言われています。
もちろん人によって個人差はありますが、停滞期は訪れるありきで考えておくと、ダイエットの計画も立てやすいでしょう。
停滞期はいつまで続く?一般的な期間
それでは停滞期に陥ってから、それはいつまで続くのでしょうか?
停滞期が続く期間に関しては、個人差が大きく、具体的な期間は体質やダイエット方法によっても変わってきます。
ただ一般的には、「2週間から1ヶ月程度続く」とされています。
人によってはなかなか抜け出せない人もいますし、逆に停滞期が訪れたのが分からないぐらい短期間で抜け出す人もいます。
停滞期はダイエットのモチベーションが下がりやすいので、なるべく早く抜け出したいところ。
では、どうすれば停滞期を短く乗り越えられるのかというと、なぜ停滞期に陥っているのか原因を見極めて、適切なアプローチがかけてやると効果的です。
続いて、停滞期の乗り越え方を見ていきましょう。
停滞期の乗り越え方は?
ここまで、ダイエット中の停滞期の原因と起きやすい期間についてご説明しました。
では、停滞期を抜け出すにはどうすればよいのでしょうか?
実は、①でご紹介した“飢餓状態”と、②③のような飢餓状態ではない状態では、それを抜け出す方法が大きく異なります。
“飢餓状態の場合”と“飢餓状態でない場合”の2つに分けて、停滞期から脱出する方法を説明します。
飢餓状態の場合の脱出方法
飢餓状態の場合のダイエット方法は、
- 食事バランスを見直す
- 一日だけ食事量を増やす
- 慌てずにダイエットを続ける
これら3つになります。
食事バランスを見直す
飢餓状態になってしまっているのであれば、既にかなりのカロリー制限を行っていると思います。
食事制限はダイエットにおいて重要ですが、栄養バランスの偏りがないか、改めて食事内容を見直してください。
具体的には、肉・魚などのタンパク質や、野菜などからビタミン・ミネラルを摂取することを心がけましょう。
タンパク質には、筋肉をつくる役割があります。
ビタミン・ミネラルを摂ると、溜まった脂肪が燃えやすくなる効果が期待できます。
食事量を減らすことはダイエット中であれば避けられませんが、しっかりと栄養を摂ることも重要です。
肉・魚・野菜は極力減らさずに、ごはん・パンなどの炭水化物や、お菓子などから制限するようにしましょう。
また、偏った食事をしていると、そもそも飢餓状態になりやすくなってしまいます。
バランスの良い食事を心がけながらカロリー制限を行うことで、停滞期になりにくく、なってしまっても短い期間で停滞期を脱出することができるようになります。
一日だけ食事量を増やすチートデイを設ける
飢餓状態というのは、脳が身体の危機を感じて起こる防衛本能によるものです。
つまり、脳が“飢餓状態ではない”と判断すれば、脱出することができます。
そのために、“一日だけ”食事量を大幅に増やします。
これを「チートデイ」と呼ぶこともあります。
摂取カロリーの目安はいくつかありますが、「体重×45kcal」を目安にしましょう。
60kgの人であれば、2700kcalです。
ダイエット中でなくても、かなりの摂取カロリーですよね。
しかし、この日だけは中途半端な量ではなく、たくさん食べましょう。
ただし、“一日だけ”です。
翌日からは、引き続きカロリー制限を行う必要があります。
自分を律する能力がない人には向かない方法です。
また、特に炭水化物を多く摂取する必要があります。
ファストフードや菓子パンなど、健康によくないものをたくさん食べるのはNGです。
丼ものやラーメンなどの炭水化物をメインに食べましょう。
更に、一度に食べるのではなく、しっかり3食に分けることも重要です。
これは、一度に食べてしまうと消化器官に負担がかかってしまうためです。
そうすると、うまく栄養を取り込むことができなくなったり、下痢や胃もたれの原因にもなってしまうので気をつけましょう。
慌てずにダイエットを続ける
飢餓状態になってしまっても、慌てず、諦めず、ダイエットを続けていれば必ずまた体重は減り始めます。
これには3週間~1カ月ほどの期間が必要になります。
長く感じるかもしれませんが、身体の守るための本能ですので耐えましょう。
この期間に、ダイエットを辞めてしまうと100%リバウンドしてしまうので、諦めることだけは絶対にしてはいけません。
減らない体重を前にしてモチベーションが維持できない人は、この期間だけは体重を測る間隔を長くするのもオススメです。
体重が減らないと少なからずモチベーションは低下してしまうので、測る回数を減らしてみましょう。
②飢餓状態でない場合の対処法
今回、停滞期の原因の③でご紹介した“水分の減少による錯覚”が原因である場合は、まだダイエットの効果があまり出ていない段階なので、諦めずにしばらくそのままダイエットを継続しましょう。
そして②の、“痩せたことによる消費カロリーの低下”が原因である場合は、『ダイエット法の見直し』が必要です。
カロリー収支を計算しなおす
体重がある程度減少している場合、最初に計算した消費カロリーと現在の消費カロリーは大きく違います。
最初は「摂取カロリー<消費カロリー」であっても、今現在は「摂取カロリー=消費カロリー」となってしまっている可能性が高いです。
そもそも最初からしっかり計算をしていなかった、という方も、カロリー収支の計算を必ず行いましょう。
ダイエットメニューを変更する
カロリー収支の計算をしたら、その計算に基づいて新たにダイエットメニューを考え直します。
食事量の変更をして摂取カロリーを減らしたり、運動メニューを強化して消費カロリーを増やしましょう。
また、運動はやり続けることで徐々に慣れてきてラクになってきますが、その度に強度を上げたり時間を長くしたりして、常に“少しキツイ”くらいの状態を保つようにしましょう。
これは、ずっと同じ条件で運動を続けていると身体が慣れて、消費カロリーが落ちてしまうからです。
このように、飢餓状態や体重の減少以外にも、身体の適応力によって消費カロリーが落ちてしまうこともあるのです。
ダイエット停滞期の乗り越え方のまとめ
停滞期は、何の前触れもなく突然やってきます。
ダイエッターは必ず1度は経験するものでしょう。
ダイエットのモチベーションを維持しずらくなりますし、過去にここで諦めてしまったことがある方も多いのではないでしょうか?
でも、停滞期の原因を知っている貴女なら、もう焦ることもないでしょう。
停滞期を乗り越えることができれば、ダイエットはほぼ成功します。
正しい対処法を知っていれば、停滞期は怖いものではないのです。
ポイントは、“焦らないこと”“諦めないこと”“分析すること”です。
更に、“停滞期は自らのダイエット法を見直す機会にもなる”とポジティブに捉えることもできます。
そう考えれば、尚更焦る必要はないですよね。
停滞期を迎えたら、体重を“減らす”というよりも“維持する”ことを重視し、冷静に対処することで、また体重は減っていくようになります。
停滞期を乗り越えて、憧れボディを手に入れましょう!